好きになんか、なってやらない
置かれた書類の山も少しずつなくなっていくけど、時間も刻々と過ぎていく。
気づけばフロアには、数人程度しか残っていなかった。
あ、終電行っちゃったな……。
23時27分。
最終電車出発。
となれば、今日はタクシーで帰ること決定。
深夜料金の、ここから家までのタクシー代はバカにならない。
残業代、ちょうどなくなるかも。
そう思うと、こんな遅くまで仕事しているのがバカらしく感じるけど、これも仕事なのだから仕方ない。
ブラックコーヒーを喉に流し込んで、もう一度パソコンへと向かった。
あとはこれだけ……。
ようやく残り、一社。
時間も0時を過ぎる。
さっさと終わらせて、明日はゆっくりしよう。
気合を入れ直して、最後の書類に目を通していると、
「お疲れ」
ふと後ろから声をかけられた。
「あ、お疲れ様です……」
「まだ残ってるんだ?大変だね」
「はい……」
そこには、営業部の川辺さんがいた。