好きになんか、なってやらない
「わざわざありがとうございます」
スタジオについて、深々と頭を下げるスタッフの人たち。
あんな宿泊券につられるなんて、私も現金な女だ。
一つの部屋に通されて、録音機をテーブルに置かれ、インタビューはすぐに始まった。
出逢いはなんだとか、どっちからアタックしたのだとか、普段何してるのだとか……
ありきたりな恋バナインタビュー。
ほとんど凌太が答えてくれた。
「じゃあ、最後に。
お二人がラブラブでいる秘訣はなんですか?」
最後と言われた質問。
というか、ラブラブなつもりなんかないんだけど。
どう考えたって、他のカップルよりサバサバとした関係だし。
けど、しいて言うのならば……
「飾らないこと、ですかね。
いつも思ったことを口に出しているので、ストレスもたまらないし、相手が何考えているのかすぐに分かるし。
だから彼といる時間が、一番ありのままの自分でいる気がします」
つい自分から口走ってしまった言葉。
言い終わってからハッとして、凌太と目が合った瞬間、カーッと顔が火照った。
「いいですね。すごく仲がいいのが伝わってきます」
スタッフの人も、そんな私たちを見て、微笑ましそうに笑っていた。