好きになんか、なってやらない
 




「わざわざありがとうございます」


スタジオについて、深々と頭を下げるスタッフの人たち。

あんな宿泊券につられるなんて、私も現金な女だ。


一つの部屋に通されて、録音機をテーブルに置かれ、インタビューはすぐに始まった。

出逢いはなんだとか、どっちからアタックしたのだとか、普段何してるのだとか……
ありきたりな恋バナインタビュー。

ほとんど凌太が答えてくれた。


「じゃあ、最後に。
 お二人がラブラブでいる秘訣はなんですか?」


最後と言われた質問。
というか、ラブラブなつもりなんかないんだけど。
どう考えたって、他のカップルよりサバサバとした関係だし。

けど、しいて言うのならば……


「飾らないこと、ですかね。
 いつも思ったことを口に出しているので、ストレスもたまらないし、相手が何考えているのかすぐに分かるし。
 だから彼といる時間が、一番ありのままの自分でいる気がします」


つい自分から口走ってしまった言葉。
言い終わってからハッとして、凌太と目が合った瞬間、カーッと顔が火照った。


「いいですね。すごく仲がいいのが伝わってきます」


スタッフの人も、そんな私たちを見て、微笑ましそうに笑っていた。
 
< 240 / 301 >

この作品をシェア

pagetop