好きになんか、なってやらない
 
「だーかーらー……
 なんでいきなり、そんなこと言うかなぁ……」

「ごめん。もう二度と言わない」

「そうじゃねぇって」


予想外の文句を返され、好きと言ってしまったことを後悔。
だけどいつの間にか、手にもっていた缶ビールはテーブルの上に置かれ、ソファーの背もたれに押し付けられるように凌太の体が目の前に来ていた。


「アルコール体に入れて、んなこと言われたら……我慢できなくなるっての」

「っ……」


次に襲ってきたのは、最初から容赦ないキスだった。


いつもなら、突然のお触りは禁止。
気分がのってないときに触ろうものなら、速攻跳ね除けていた。

だけど今日は
自分を求めてくれる凌太に安堵ばかりが体を満たして……


「いいの?今止めないと、手遅れになるけど」

「……いいから抵抗してないんでしょ」


わざとらしく、ツンとした態度で彼の首に手を回した。



可愛い言葉なんて言えない。
素直に甘えるなんてやっぱり無理。


これが今の、私なりの精一杯。



「今日の玲奈、なんかエロい」

「んっ……」




彼を私につなぎとめるためには
きっとこんなんじゃ足りない。
 
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