好きになんか、なってやらない
 






気づけば、意識を手離していたらしい。

ふと目を覚ますと、ベッドの上でシーツをかけられた自分。
電気は消されていて、どこからかシャワーの音が聞こえた。


凌太か……。


一緒に寝てしまったのは凌太も同じのようで
きっと少し前に目を覚まして、私を起こさないよう一人でシャワーを浴びに行ったんだと思う。

私も体がなんとなくベタベタする気がしたので
そのままシャワーを浴びに行こうと思った。


凌太から借りているシャツを一枚羽織り、ベッドから立ち上がる。
途中、棚の前を通り過ぎようとしたとき、キラリと光る何かが目に飛び込んできた。


暗闇で……
月明かりを反射するそれ。

まるで私を引き付けているかのようにも思えた。


棚の上に
無造作に置かれた光るそれは……



「………う、そ……」



美空さんの右耳に光っていたあのピアスと
まったく同じものだった。
 
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