好きになんか、なってやらない
22章 負けたくない
「あ、れ……」
虚ろなまま、歩き続きた自分。
目的もなく、ただ歩いてたどり着いた場所にハッとした。
「なんで私……」
たどり着いた場所。
そこは……以前、凌太と一緒に、雑誌のインタビューを受けたスタジオの前だった。
そして凌太と美空さんが、再会した場所……。
どうしてこんなところに来てしまったんだろうか……。
ここに来れば、美空さんに会えると思ったからなのだろうか……。
美空さんに会ったところで
何も言えず、負け犬となってしまうだけなのに……。
「ん?……玲奈ちゃん?」
ふいに聞こえた自分の名前。
振り返ると、何度か会ったことのある人物が立っていて……
「あ……お久しぶりです。押尾さん」
私と凌太を撮ってくれた、カメラマンの押尾さんがいた。