好きになんか、なってやらない
「………あなた……」
「お疲れ様です」
案内された控室前。
しばらくして、撮影にきた美空さんがやってきた。
「どうしてここに……」
「美空さんに、話したいことがあって入れてもらいました」
「……何?」
突然現れた私に、怪訝そうな目を向けてくる美空さん。
さっきまでの私なら、彼女の存在だけでビクついてた。
劣等感の塊の自分と
完璧な彼女。
その存在の違いだけで、私は自ら負けを認めてしまっていたから。
だけどそうじゃない。
見てくれとか、そんなの関係ない。
だってもし、外見とかを気にしているんだったら
最初から凌太は、私を好きなんて言ってなかったはずだから……。
「私は……凌太が好きです」
負けたくないこの気持ち。
今日初めて、彼女に向かって凌太への想いを伝えた。