好きになんか、なってやらない
23章 恋の終止符
***
その電話がかかってくるまで
存在すら、忘れていたんだ……。
ヴー、ヴー……
家に帰って、ほったらかしにされたテーブルの上の携帯。
缶ビールでも開けようとしたとき、それが震えた。
誰だ?
そんなことを思いつつも、相手が玲奈じゃないかなんて期待をして
震え続ける携帯を拾い上げる。
だけどそこに記された番号は、登録もされていない見たことのない番号だった。
不審に思いつつも
登録し忘れた相手とか、誰かから借りた携帯だとか、
いろんな可能性を考えながら、震え続ける携帯の応答ボタンを押した。
「もしもし」
《……もし…もし……。…凌太…?》
少しだけ威嚇した声で発すると
それにビビったような、か細い声。
分かりたくなんかない。
そんなはずない。
俺のこの番号に、アイツから電話があるなんて……。
だけどその相手を
間違うはずないほど、俺には聞き覚えがありすぎて……
「………美空か…」
もう呼びたくもないそいつの名前を
呆れ交じりで呼びかけた。