好きになんか、なってやらない
「凌太……」
「はぁっ…はぁっ……」
目線の先の人物を見て、驚きを隠せなかった。
息を切らして、必死に駆けてきた凌太。
さっき別れを告げたばかりのはずの凌太。
「バカがっ……。お前何考えてんだよっ……」
「え?」
まだ息も整っていないまま、私に非難の声を浴びせてくる。
何を考えているのか……。
それは凌太とのことだけで……。
「簡単に俺から離れようとしてんじゃねぇよ!!」
その口から出た言葉は、
怒られているのに嬉しくなるような言葉だった。
「だ……って……」
「誰が俺から離れていいって言ったんだよ。
その首輪はなんのためについてんだ?」
「え?あ……」
言われて思い出した。
自分の首元のネックレスを……。
「首輪」と称して、誕生日プレゼントにくれたネックレス。
どこにも行かせない、どこにも行かない。
そう誓い合っていた……。
「お前は一生、俺のもんなんだろ?」
ムカつきすぎるほど、自分勝手な言葉なのに
なぜか涙があふれ出てくる。