好きになんか、なってやらない
 
「俺は、さ……。
 多分、玲奈が思っている以上にすげぇカッコ悪い男だと思う。
 さっきみたいに別れを言われても、すぐに追いかけらんねぇし、プライドばっか気にして素直になれないし……。

 けど……

 やっぱり玲奈だけは手離したくない。
 これからも俺の傍にいて。逃げたりしないで」


じっと見つめる茶色い瞳。

誰からも好かれることが当たり前だった彼。


最初から、私には拒まれて、
ゲーム感覚のように落とそうと必死になって
私が好きになる前に自分が好きになっちゃって……



「凌太がカッコ悪いのなんて、最初から分かってるよ」



カッコいいと思って好きになんか、なったことなかった。


私が凌太を好きになったのは
外見とか、スマートなふるまいとか、そんなこと一切関係ない。


不器用な間の優しさや
たまに取り乱した姿。
照れたり、ムキになったり、怒ったり……。
私にいつも振り回されながらも、一生懸命に応えてくれる姿。



「私はカッコ悪い凌太が、大好きなんだよ」



飾った姿なんて
必要ない。
 
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