好きになんか、なってやらない
 
「そっか、そうだよね。
 うん、べつにいいよ」

「おいっ……」


怒ったふりして、一歩前を歩いた。

こうすれば、彼がどうしてくれるか想像つくから……。



「っ……好きに決まってんだろ。
 だから迎えに来……」



最後まで、言葉は言わせない。


好きと言われて
振り返った瞬間、

私はそっと、彼の唇を奪った。



「うん。私も好き」

「……お、まえなぁっ……」



唇を離して
にこりと微笑み彼を見上げた。


悔しさと
照れが混じった赤い顔。


どうしよう。
凌太をからかうのが楽しすぎてたまらない。


どうやら私は、凌太をいじめる快感に目覚めたらしい。
 
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