好きになんか、なってやらない
さすがに飲み過ぎたかも……。
飲みが開かれてから2時間ほどが経過して、ようやく我に返った。
周りはまだまだキャピキャピとはしゃいでいて、岬さんの周りには女子がトイレのタイミングのたびに入れ替わる。
そんな輪に冷静な視線を送りながら、少し外の風を浴びようと一人店の外に出た。
バカみたいだな、私……。
店の外の壁にもたれかかって、夜空を見上げた。
イライラしている自分が嫌だ。
だって、もし本当に、岬さんのことがどうでもよかったら、今こんなにもイライラしていないはずだから。
こんなにもイライラしてしまう原因は、彼にたいしてなのか……。
それとも周りの素直に媚びれる女子たちにたいしてなのか……。
ダメだ。
それじゃあ、まるで私が……。
「あれあれ?どうしたの?こんなとこで一人で」
「……」
店のドアが開いたと思ったら、急に立ちふさがれる男の壁。
顔を上げると、20歳そこそこくらいの男たちが、かなりお酒の匂いをさせて人に絡んできた。