好きになんか、なってやらない
 
「べつにどうもしてません」
「えー、そんな言い方なくないー?
 合コンか何かに参加してんの?つまんなくて、ここにいるとか?」
「違いますっ」
「つまんないなら、俺たちと一緒に飲もうよ」
「だからっ……」


人の意見なんかまったく聞かない。


あーもう……
だから男ってやつは……。


「いこいこ!俺らのおごり!!」
「やっ……」


勝手に人の手を掴んで、ニヤニヤと見下ろしてくる男たち。

その瞬間、ゾクリとした。


こいつらは、酔っぱらって人に絡んでいたわけじゃない。
もとから下心見え見えの状態で、力ずくで人を連れて行こうとしてるんだ。


血の気が引いて、ヤバイと心の中で叫ぶ。
ズルズルと体が引きずりかけて、カラカラになってしまった喉で叫ぼうとした瞬間、




「玲奈っ!!」

「っ……」





私を呼び止めた声。

足にようやく力が入って、その声の主へと振り返った。
 
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