好きになんか、なってやらない
「からかいの気持ちで、玲奈の気持ち弄ぼうとして……」
「……」
初めて面と向かって言われた、本当の目的。
分かっているのに、ツキンと胸が痛くなった。
「べつに……男の人なんて、最初から信用してないですから」
「でもあの時、俺のこと、少しだけ信じてるって言ってくれたよな」
「それは……ただの嘘ですよ」
咄嗟に出た、ドヘタな嘘。
だけど見栄を張りたくて、あの時の言葉に意味をもたないと強がった。
「私は最初から、岬さんのことなんて信用してないですから」
最初から……最後まで……。
彼を信用したことなんてない。
こんな人が、自分を好きになるはずなんてない。
だから……
「……でも俺、もしかしたら結構………」
「あーいた!って、お邪魔!?」
途端に聞こえた、黄色い声。
ドラマの世界のような雰囲気はあっという間に消え、非難交じりの女子の声が外に響いた。