好きになんか、なってやらない
真っ直ぐと返した言葉。
目を丸くしていた岬さんは、「はぁ…」とため息をついて……
「そんだけ言われるんだったら……」
「っ……」
「俺はガチでこれくらいしておきたいけど」
グイと引かれた腕。
目の前には、岬さんの顔のドアップ。
急なことすぎて、抵抗も忘れて身動きが出来なかった。
「どう?少しはドキドキする?」
「……」
至近距離で見つめてくる岬さん。
こげ茶色の瞳が、じっと私を捉えた。
男のくせにすべすべな肌も
艶が出るほど綺麗な髪も
大きくて切れ長な目も
全部全部、女子を虜にするのに十分だった。
ドキドキする?
確かにこんな至近距離で見つめられれば、
反応したくない女子としての心が、ときめきを始めていて……
けど……
「自惚れないでください」
プライドと過去へのトラウマが
冷静な瞳と声で、彼を拒絶した。