好きになんか、なってやらない
スケルトンのビニール傘での出来事。
バレバレなのに、なぜか誰にも見られていないような気がする秘密の空間。
急なことすぎて
今自分の身に何が起きてるのかも理解不能。
あっという間に離れたそれは
至近距離のまま私を見つめてる。
今私、キスされたんだよね?
しかも前と違って、事故とかの弾みでもなんでもなく……
「避けられるかと思った」
しれっと言いのける相手は、キスに応えてしまった私を驚きの眼差しで見下ろしている。
避けられると思った?
避ける隙すら、あたえてくれなかったじゃん。
ってか、何こいつ、人にキスしてしれっとしてんの?
沸々と怒りは湧いてきて
怒りの眼差しを相手に向けた。
「金輪際、私に近づかないでっ!!」
「おわっ……!!」
ドンと彼の胸を押し
雨の中、迎えに来た彼をおいて駆け抜けた。