好きになんか、なってやらない
俺様自信家な男。
自分が振られていることを、いつまでも認めない。
きっと振られたことがないに決まっている。
「そんなの、この先分かんないじゃんねー」
「え?あ、そうですよね」
「ちょっと!真央を巻き込まないで!」
気づけば、勝手に隣にいた真央にまで同意を求めている。
突然話を振られた真央も、戸惑いながら頷いていて……。
「いい加減、付き合っちゃいなよ。凌太さんと」
「……もういい!一人で帰る!!」
「あ、玲奈。待ってって」
ニヤニヤしながら、岬さんの肩を持つ真央を置いて、さっさと一人駅へと向かった。
当然のように、真央も岬さんも私の隣に並んできて……
「真央ちゃん。俺、今日も振られちゃったよ」
「凌太さん!恋は忍耐です!明日も頑張りましょう!」
「うん!そうだよな」
「……」
人を間に挟みながら、勝手に盛り上がっているその話を
もう何も聞こえていないふりをして、スタスタと歩き続けた。
大嫌いなこの男との勝負は
まだまだ決着がつけられそうにない。