好きになんか、なってやらない
 
先輩たちは、全部で六人。
合わせて八人になった席は、男女の比率もほぼ変わらない。


真央はちゃっかりと柿本さんの隣へ移動していて、私は端の席で、ヤケ酒のようにビールを飲んでいた。


「玲奈って意外と酒豪だよな」
「……意外とってなんですか」
「真面目に見えて。あ、でも素性はめちゃくちゃ気が強い頑固女だよな」


この男、人に喧嘩を売りたいのか……。

勝手に人が集まってくるはずの岬さんは、その波をよけてわざわざ人に絡んでくる。

周りの人たちは、いまだに岬さんが私を好きだと思っているから、そうなると間に入ってくる人たちはいなく、自然と二人きりの会話になってしまう。

だけど話される内容な、喧嘩腰の言葉ばかりだ。


「岬さんって、もう私を落とすゲームやめてるんですよね」
「ん?ああ」
「なのにどうして私にばっか構うんですか」


ゲームをやめてるんだったら、もうこんなつまらない女に構う必要なんてないと思う。

さっさと離れて、昔のように女遊びでもしてればいいのに。


「そのあとに言わなかった?
 玲奈の動揺した姿を見るのが楽しいって」

「……」


ああ、そうだ……。

今も変わらず私は、岬さんの暇つぶし対象となっているんだ……。


「暇人ですね」
「うるせーよ」


ほんと……
どうして私なんだか……。
 
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