好きになんか、なってやらない
 
「どうした?っつか、誰?」


スッと私の横に並んだのは、今一番この状況に気づいてほしくなかった岬さん。

余裕そうに微笑んでいるけど
その目は確実に笑っていない。


「……高校の時の同級生ですよ」
「そっか。感動の再会とか?」
「感動なんてするものだったらよかったですね」


わざと茶化す言い方。
私もあえて、それに便乗する。

目の前の陽平は、私と岬さんの関係を探ろうと、交互に見やっている。


「……玲奈の彼氏?」


ズバッと聞かれた。

ここで、「彼氏」だと嘘をついてしまえば、この先面倒なことにならないかもしれない。
だけど散々払いのけてきた岬さんを、たとえ嘘でも「彼氏」と言ってしまうのはやっぱり気が引けてしまって……



「ちが……」

「そう」



否定しようとしたのに、
その言葉にかぶせるかのように、岬さんが肯定してしまった。
 
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