好きになんか、なってやらない
「じゃあ、傍にいていいんだ?」
「距離を考えてください」
「じゃあ、この距離感はアウト?」
「っ……」
言われて我に返る玲奈。
しっかりと抱きしめられているこの状況を意識し、慌ててパッと離した。
「残念」
「そ、そういう態度が、私を男不信にするんですよ」
「でも好きな子に触れたいって思うのが普通でしょ?」
「……」
何か反論が返ってくると思ったら、時が止まったかのように固まった玲奈。
ん?
俺、何か変なこと言ったか?
「岬さん……
私のこと、好きなんですか?」
「え?」
聞かれて、俺の頭もフリーズした。
好き?
俺が玲奈を……?
え、もしかして俺、
今玲奈にたいして、「好き」とか言った?
パチパチと瞬きをして、驚きの表情を俺に向ける。
だけど多分、それ以上に俺のほうが驚いている。