好きになんか、なってやらない
ああ、やっぱり前言撤回。
好きかどうかなんて、分からないわけない。
女を振り回してきた俺が
こいつにだけは、一喜一憂振り回される。
腹立つのも
ドキッとしてしまうのも
こいつの言葉と表情、ただひとつのみで……
「玲奈、ごめん」
「え?」
信用してもらおうと、必死にあがいているくせに
自分でもコントロールできない感情が、次々と溢れてくる。
真摯でいたい。
ゆっくりと近づいていきたい。
そんなこと、頭では分かっているのに……
「―――っ」
俺の心は、男の欲望で溢れている。
玲奈の唇を
勢いと力で、奪っていた。