好きになんか、なってやらない
なんだろうな、この感じ。
キスなんて、
数えられないくらい経験してるのに
ファーストキスよりももっと心に残る。
唇から伝わる体温も
手の中におさまる温もりも
どっちのものか分からないほど、溶け合うみたいで……
きっと玲奈も
そう感じてくれているはず………
「っ……だからいい加減にしてくださいっ!!」
パーン!と響く平手打ちの音。
ジンジンと痛む左頬。
パチクリと目を見開く先には
キッと睨みあげる玲奈の姿があって……
「気軽にほいほいキスしないで!」
俺からのキスに、紅潮とか一切させない生意気な姿。
「この自惚れ男」
「……このアマ…」
ダメだ、やっぱり。
俺はこいつが
とことんムカツク。