好きになんか、なってやらない
9章 やり直したい
「玲奈ー」
お昼休みの時間になって、
ふと顔を上げると、営業部の同期の子たちが。
普段外回りが多いので、こうやって私のもとに来るのは稀である。
「何?どうしたの?」
「ランチ、一緒にどうかなー、と思って」
意外だ。
ランチを一緒にするためにここまで誘いに来るなんて……。
決して仲が悪いわけじゃないけど
さすがに4年目となると、同期だからという理由で一緒にランチをしたりすることは少ない。
「べつにいいけど」
「よかったー。それでさ!せっかくだから、凌太さんなんかも誘ったりしない?」
「は?」
言われて、理解出来た。
私をランチに誘ったのは、決して私とお昼ご飯を食べたかったわけではない。
この子らの目的の先には、岬凌太がいる。
「しない」
「そんなこと言わずにさー!」
岬さんと一緒にランチが出来ないのなら、私を誘った意味はなくなるんだろう。
だけどできるなら、私はこれ以上岬さんに関わりたくない。
心を鬼に……
とまでは、さすがにいかなかったので、
「ちょっと待ってて」
私は、自分のデスクの前に営業の子らを残して、岬さんのもとへと向かった。