忘れられた蛍
…女の子がいる
男かと思った。しかしワンピースを着てるから女の子だろう
こちらに背を向けて眠っているから顔はわからない
もぞもぞと寝苦しそうだ。きっと暑いんだな
きっとここにクラスメートの女子がいたらびっくりして大騒ぎするだろうけど
私はそこまでびっくりしない
とりあえずリモコンを探さなくては…
押し入れを開けてがちゃがちゃとうるさかったからか、いつの間にか女の子が目の前に立っていた
真っ黒な髪の毛は肩くらいで、前髪はぱっつん。
かわいらしい子どもといった印象か
実に幼児的な顔立ちだわ…三歳くらい?いや、二歳か?しゃべれんの?
私の事をじーっと見ていた女の子が先に口を開いた
「おねぇちゃんはだれ?」
たどたどしい発音だが、とりあえずはしゃべれるようだ
「あんたこそ誰よ…」
私がかがんで彼女のきらきらした目とどす黒いであろう私の目をあわせると、少し照れながら女の子は言った
「あのね、つきちゃんはつきかっていうの。」