SEL FISH
初めてアキを見たとき、弟っぽいと少し思った。
やっぱりそういうのって分かるものなのかな。
「嘘吐きは舌を抜かれるって言われるのは、嘘吐きは二枚舌だからなの?」
「なにそれ、知らなかった」
「アキは嘘吐きじゃないから知らなかったんじゃない?」
「祈璃、舌出してみて」
言われた通りに、舌を出す。
アキの顔が近づいて、ぺろ、とそれを舐めた。
「祈璃も二枚舌じゃなかった」
「……それ、は良かった」
悪戯っ子のように笑って、アキはあたしを家まで送ってくれて、ひらりと手を振って背中を向ける。
一人っ子のあたしはマンジョンの階段を上がった。