SEL FISH
そして、落ち込んでいるあたしをアキは慰めてくれている。
「アキって……」
「天気予報士じゃないけどね」
「アキって優しいね?」
驚いた顔に、選んだ言葉を間違えたかと思った。でも、それ以外に言葉は見つからない。
降りる駅で電車が停まる。
あたしは立ち上がった。
「ありがと。ばいばい」
「うん、じゃあ」
手を振って電車を降りる。改札を出て、駅を出た。
空は青くて、もうすぐ春だと思った。冬が名残惜しそうに去っていく。
梅は簡単に散らないなあ。
end.
20150321