SEL FISH
何を考えているかは、到底私に想像出来ない。いつだって彼女は、想像の上を行く。
「ううん」
『え、大丈夫? 不眠症? 堂本さん、今から外出れる?』
「今から?」
時計を再度見てみる。四時半をまわったところ。
『そう、今から』
駅に近付くと、始発に乗ってきた人々と擦れ違う。こんな時間に外へ出たのは初めてで、わくわくしてしまう。
駐輪場のガードレールに座っていたのは、見慣れた制服姿。
眠いのか、将又眠っているのか、俯いて目を閉じていた。