SEL FISH

学校とは別方面に歩いていく。自分の近所だというのに、全く知らない場所。いのりちゃんは縄張りのようにするすると辿って行った。

昨日も一昨日も、学校で会うと気まずいままだった。

この前、私が変なことを言ったから。そこから歯車が噛み合わなくなってしまって、いのりちゃんと何を話せば良いのか分からなくなってしまった。

今は、普通に話しているのに。

「ここ、のぼりまーす」

いつも行くゲーセンのビルの上を指差したいのりちゃんの後に続く。のぼる、というのは勿論非常階段らしい。

あまり高くもないビルなので、然程疲れもせずに屋上についた。



< 113 / 328 >

この作品をシェア

pagetop