SEL FISH
頭の良いいのりちゃんなら、先は言わなくても分かるだろう。
こんな浅はかでくだらない幻想を抱いた私が選んだ少ない敵というのは、いのりちゃんだった。
「ずっと言わなきゃって、思ってた」
仲の良かった友達に、また掌を返された。
クラスの底辺に落ちた。
中学のときはそこで終わって、逃げてしまったけれど。
「ごめんね」
いのりちゃんは、私のことをうざいと言った。
まっすぐなその言葉に、わたしは勝手に傷ついて、嘆くことは簡単。
嘘のない言葉に、私も彼も、きっと魅了されてしまったのだと思う。
「駄目!」
急に大きい声を出して、ぎゅっと手に力が入った。