SEL FISH
私大文系の堂本さんとクラスが分かれることは予想していたけれど、堂本さんが居ないのは物足りない。
前に座る女子の周りに何人かのクラスメート。人気者なのかアイドルなのか。
どこかで見たような気もする。
先生の配慮なのか、あたしの隣はアキだった。
「その小説、楽しい?」
「楽しい」
「堂本さん居ないとつまんないね」
「ね」
小説に没頭しているアキが相手をしてくれない。つまんない。
急に前から人が捌けた。教室の前の扉から新しい担任が入ってくる。
「そのマニキュア可愛いね」