SEL FISH

前から降った言葉。

「でしょ」

「ピンク似合うね」

薄い紅色の唇がにっこりと微笑んでいる。焦げ茶のボブカットが天使の輪を作っていた。

外見だけならすごく可愛い。やっぱりアイドルなのかな。

「あたしが可愛いのは知ってるよー、ありがとう」

「祈璃ちゃんは聞いてた通りの子だね」

うん? と首を傾げると、前を向いてしまった。

「藤沢瑛美」

はい、と手を上げた前の子。

あ、思い出した。

一人でゲーセンにいた子。
ふじさわえみ。



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