SEL FISH
掌を見る。グーパーグーパーと動かして、グーで止めた。
「あたしの一番印象的な遊び」
未だに捨てられないゲージ。
あたしの信じるものが、そこにあるという証。
グーにした指に、指がかけられる。ゆっくりとそれが開いた。
アキが笑っている。するりと、私の指を撫でた。
「俺の家でハムスター飼う?」
それを聞いて、あたしも笑ってしまう。
「アキもハムスター好きなの?」
「……特別そうじゃないけど」
「嘘だー、好きなんでしょ。ハムスター可愛いもんね、あの小さい手とか鼻先とか」
想像してやっぱり可愛いと思う。あたしの次に。