SEL FISH
美しくない青春でも
何とも言いたげな堂本さんの視線が刺さる。
「言いたいことがあんなら口で言ってくださいませんか」
「まだいのりちゃんの逆鱗に触れてないんだ」
「は?」
「藤沢瑛美」
藤沢瑛美は、俺の隣の祈璃の前の席に座るクラスメート。
男女共に信頼されていて、漫画に出てくるキャラ並に博愛主義。
別クラスになった堂本さんとは、学年が上がった今も一緒に昼休みを過ごしたり帰ったりしている。今、ちょうど祈璃は自販機へ。
「そんな要注意人物?」
笑うつもりはなかったけれど、声に出ていた。
この人は、この前からずっとこんな調子だ。