SEL FISH
なんでもないの
文化祭前日。
外装内装を終えて、男子が最終チェック、女子が駄菓子を並べる。
前日だからか、高校最後だからか、すべてが終わっても帰る人は少ない。
去り難いってところなのかもしれない。
私もなんだか周りに流されて、勝手に感傷に浸ってしまっていた。
去年も一昨年もいろんなことがあったなあ、なんて。
「また、明日」
野立さんがエナメルバッグを肩にかけて教室を出ようとする。
「今日も練習?」
「筋トレだけ、大会近いから」
「そっか、頑張れ」
あ、他人事みたいだ。
いや、他人事か。
「ありがと、頑張る」