SEL FISH
その驚き方があからさまだったのか、いのりちゃんが首を傾げる。
「あ、もしかしてまだやる事残ってる? 出てくひと何人かいたから解散かと思ってた」
「もう終わった。少しびっくりしただけ」
「……うん?」
「ううん、何でもないの。クラスで?」
何でもないのは、上手く説明出来ないから。
ただ、私は心の中でいのりちゃんは彼を頼っても私を頼ることはないと思っていた。
だから、話すだけでも、私に話してくれるのには驚いた。
「あたし、クラスの会計係でね。エプロンを買ったときの領収書を渡したって言われてるんだけど、無いってゆーか、あたしは受け取ってないってゆーか」