SEL FISH
開場したみたいで、校門の方が騒がしくなってきた。見ると、外部の人がぞろぞろと入ってくる。
「文化祭って、好き?」
隣で一緒に窓の外を見ていた藤沢さんが問う。好きか嫌いか、シンプルな問いかけ。
「どっちかっていうと、好きかな」
「祈璃ちゃんて、人が好きなんだね」
それは初めて言われた。
文化祭が好きだと人が好きに繋がるものらしい。まあ確かに、人は沢山来るけれども。
「藤沢さんは嫌いなの?」
主語が抜けてしまった。
藤沢さんは、真っ直ぐこちらを見た。
「嫌い」
大嫌いよりもシンプルなそれは、何より強い言葉だった。