SEL FISH

言った後に、「なんてね」と笑う。冗談には取れない音色だった。

あたし達は宛もなく、本当にぶらぶらと学校内を歩き始めた。

「藤沢先輩! お化け屋敷来てくださーい!」

キャッキャと藤沢さんの後輩が、看板を持ちながら隣を通り抜けていく。

手を振って答える藤沢さんの横顔を見た。確かに、文化祭係よりも仕事をしちゃう人だ。人にも慕われると思う。

そして案の定、大学生っぽい男にも話しかけられた。

「二人とも可愛いね?」

「俺等ここの高校出身なんだよね。一緒に回らない?」

なかなか背が高くて格好いい顔。



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