SEL FISH
「やめとこうよー」
「祈璃ちゃんが来てくれれば大丈夫だよ。あの人、絶対祈璃ちゃん目当てだったし」
「そんなの知ってるよ」
「あ、すみませーん!」
制服姿の二人の背中を呼び止める。勿論振り向いて、あたしと藤沢さんの顔を見て目を輝かせた。
どうしたの? と聞かれる前に、藤沢さんがメモを出す。
「さっき、看板持ってた子からです」
「え?」
途端に困惑した空気が流れる。自分からこんな空気に飛び込む藤沢さんの気がしれない。
手首を掴まれていなかったら、きっと逃げている。
「あーごめん。君等からだったら嬉しかったんだけどねー、はは」