SEL FISH

渇いた笑い声。
藤沢さんはあっさりと引き下がり、あたしの手首も離した。




教室の近くに行くと、濱さんが列の整理をしていた。藤沢さんがそれに近寄った。

「おつかれさま」

「お疲れ様! 藤沢さん、どうだった……?」

「受け取ってくれた。今度連絡します、だって」

笑顔で紡がれる言葉。
きり、と持っていた鞄を掴む手に力が籠もった。

「マジで!? 良かったあ、ありがとう!」

嬉しそうにぴょんぴょん飛ぶ濱さん。

別れを告げて藤沢さんがこちらに戻ってくる。あたしを見て、少しだけ目を伏せた。

「どうして、本当のこと言わないの?」



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