SEL FISH
あたしは産まれてから、目も耳にも異常なく生きてこれた。
集中してゲームをやり始めてしまったので、あたしはお菓子を食べて時間を潰す。アキの分の烏賊にも手を出し始めると、ゲームが中断された。
「それで、祈璃は」
もくもくと食べるアキが話す。
子供の付き添いで来たのか、夫婦のような二人が入口から入ってきた。
「うん?」
「藤沢さんのこと、嫌いになったの?」
私に嫌われても良い藤沢さんのこと。
それは、もう答えが出ていた。
「嫌いだけどね、まだ勝負ついてないから」
「勝負?」
首を傾げる。それに頷いて、あたしは個装のゴミをビニール袋へ入れた。