SEL FISH

あたしは産まれてから、目も耳にも異常なく生きてこれた。

集中してゲームをやり始めてしまったので、あたしはお菓子を食べて時間を潰す。アキの分の烏賊にも手を出し始めると、ゲームが中断された。

「それで、祈璃は」

もくもくと食べるアキが話す。
子供の付き添いで来たのか、夫婦のような二人が入口から入ってきた。

「うん?」

「藤沢さんのこと、嫌いになったの?」

私に嫌われても良い藤沢さんのこと。

それは、もう答えが出ていた。

「嫌いだけどね、まだ勝負ついてないから」

「勝負?」

首を傾げる。それに頷いて、あたしは個装のゴミをビニール袋へ入れた。



< 193 / 328 >

この作品をシェア

pagetop