SEL FISH

「便所」

「あ、うん」

頷く。委員長が行ってしまって、俺は窓に背を預けた。

あ、このまま眠れそう。
また欠伸を噛み殺して、天井を仰いだ。

「アキじゃん! アキだよな?」

驚くほど無造作に肩を掴まれた。何も言わずにその主を見てみると、眠気が飛ぶ。

「この学校だったのかよ、お前何も言わねえからさ。頭良いとこ通ってんのな」

「名倉、何でここにいんの?」

見たのは、あの公園ぶりだから二年のとき。

根本が黒い金髪と、無数のピアス。どこか猫を彷彿とさせる吊り目。

「妹の友達がここ通ってんだと。それのつきそい」

妹思いではあるんだよな。


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