SEL FISH

中学の時も親は嫌っていても、妹のことは心配していた。

人を傷つけながらも。

「アキ、彼女は? まだ付き合ってんの?」

「彼女?」

祈璃のことかと頭を過る。他クラスの人にはいつもそう言われる。

「前に男ボコった時に来てたろ。黒髪の、綺麗系の」

公園に来たのは、堂本さん。

擦れ違わないように秘かに祈った。多分一緒に祈璃もいる。

誰にだって声をかけられて、ナンパ待ちをしていた祈璃が。

「ちげーよ、知り合い。つか見えたのか?」

「横顔だけな。マジかよ、知り合いか……アキ変わったな」

その言葉にドキリとする。



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