SEL FISH

更衣室へ入った。暗くて音が聞こえなかったので、誰もいないだろうと踏んでいたけれど、違った。

「おつかれー」

ひらひらとあたしの姿を見て、手を振る藤沢さん。

「うちのクラス、入賞したらしいよ? すごいよね」

携帯を見ながら藤沢さんは笑う。

「んーあんまり興味ない」

「祈璃ちゃんは素直だねえ」

「どうもありがとう」

前のボタンを留めながら話す。あたしもクラスTシャツを脱いだ。仄かにソースの香りがして、昼間のことを思い出す。

「昼間、騒いでごめんね。あと、誰にも言わないでくれてありがと」



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