SEL FISH

「だって、どうするの? いのりちゃんと同じくらいのスペックで自分のこと好きって言ってくれる人がいたら」

祈璃ちゃんと彼を見ているとモヤモヤするのは外野の方だ。

んー、と考える仕草。
考えている暇なんてない。

「何で俺が祈璃を好き前提?」

そこ!? とツッコミたい気持ちで一杯。

「普通に高校で付き合ったことあるよ。他クラスだけど」

「嘘……やっぱり女遊びの血が」

「不良がみんな女遊びしてるわけじゃないから。そんなショック受けるのやめて」

掌をこちらに向ける。
プール帰りなのか、ビーサンを履いて歩く小学生たちとすれ違った。



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