SEL FISH

振り向こうとした瞬間、肩がぶつかる。あたしより背の高い人で、見上げて謝る。

「ごめんなさい」

「…こちらこそ」

一瞬驚いた顔をされる。日本人なのであたしだってちゃんと謝る心を持っていますよ。

お弁当を二つ持ったアキはテキトーにお茶を取って、あたしの方を見ようとした。

不意に肩を掴まれて、びっくりする。

「あの、お詫びにそれ、払います」

「うん?」

さっきぶつかった人、視界に入った上履きの色から後輩だと分かった。



< 25 / 328 >

この作品をシェア

pagetop