SEL FISH
そう言ってから気付く。藤沢さんは昼ご飯を食べる時間も惜しむような人だし、他人が勉強してると聞いたら来ないって言いそう。
「……行く」
「本当? じゃあ行こ」
駅へ歩いて、次はアキの家の最寄り駅まで電車に乗る。
「浴衣……」
藤沢さんの呟きに、窓からそちらに視線を移す。
「祈璃ちゃん、なんであそこに来たの?」
「公共の図書館もう閉まってるから。家わかんないし、ゲーセンでバイトしてたら捕まるかなって思って来てみた」
「……あれ? 祈璃ちゃんにゲーセンでバイトしてること言ったっけ?」