SEL FISH
アキがいた。ここが分かったのは当たり前だ。綿あめ屋さんの隣の空間だから!
「つーん」
「ごめん、藤沢さんが……」
「つーん!」
「なんか好きなの奢るから」
「つんつーん!」
アキが苦笑するのが分かる。
綿あめが無くなった棒を持ったままそっぽを向いた。
「祈璃、浴衣可愛いね」
「当たり前!」
「こんな可愛い祈璃がナンパされてないなんて可笑しいね」
「本当にそう思う!」
「次は射的?」
「じゃがバタ食べる!」
振り向けば、ちょっとだけ呆れた顔をするアキ。手の内で踊らされてる気がしてならない。