SEL FISH

棒をゴミ袋に捨てて、辺りを見回す。

「あれ、藤沢さんは?」

振り向いて聞くと、手首を寄せられて引っ張られる。後ろを人が通って行くのを感じた。

「ありがと」

「ん。藤沢さんは帰った」

「え、なんで?」

「千円で帰ってもらった」

どゆこと? 聞き返す前に、聞かなくて良いという風にアキが笑う。

手を引かれて歩き始める。結局、アキのこと許しちゃってる。

「じゃがバタ……って、まだむくれてんの?」

振り向いたアキが顔を覗いてくる。
その向こうにじゃがバタの屋台が見えた。

アキの顔を避けて指差す。


< 266 / 328 >

この作品をシェア

pagetop