SEL FISH
棒をゴミ袋に捨てて、辺りを見回す。
「あれ、藤沢さんは?」
振り向いて聞くと、手首を寄せられて引っ張られる。後ろを人が通って行くのを感じた。
「ありがと」
「ん。藤沢さんは帰った」
「え、なんで?」
「千円で帰ってもらった」
どゆこと? 聞き返す前に、聞かなくて良いという風にアキが笑う。
手を引かれて歩き始める。結局、アキのこと許しちゃってる。
「じゃがバタ……って、まだむくれてんの?」
振り向いたアキが顔を覗いてくる。
その向こうにじゃがバタの屋台が見えた。
アキの顔を避けて指差す。