SEL FISH
テレビのリモコンに伸ばした手が止まった。
「何も……」
「はあ!?」
「だからうっせえ」
「いのりんを餓死させる気か」
祈璃より俺の方が餓死しそうなんですけど。
自分の部屋に戻って祈璃を見るけれど、死んだように眠っている。
息を確認して静かに扉を閉めた。
ナツの作った麻婆豆腐丼を食べる。
「ずっと思ってたけど、ナツの作る夕飯って男料理だよね」
「何なの、今日すごい突っかかってきてない?」
「どっちが」
「早くいのりんにご飯食べさしてよ」
皿洗いをし始めるナツ。立ち上がって、俺はお盆に乗った丼を持って階段の前まで行く。