SEL FISH
よく見てみれば、この人何個耳に穴空けてるんだろ。
「いるけど……」
「マジで!? じゃあセフレでも、」
ゴン、と鈍い音のチョップが落とされた。頭を抱えた金髪の人がアキの方を振り向く。痛そう。
「良いじゃん、アキは彼女いるんだからよ」
「名倉、行くぞ」
話が見えない。
「あ、ほら彼女!」
しゃがんだ金髪があたしの方を指差す。違う、あたしじゃない。
振り向くと、面倒そうな顔をする堂本さん。
「最悪……」
そう呟いたのは、アキだったのか堂本さんだったのか。
end.
20151001