SEL FISH

それから急に立ち上がった。

私含めて三人の視線がそちらに向く。ポケットに入ってた財布から五百円玉と百円玉をだしてテーブルの上に置いた。

「これ三人分」

アキくんは私の鞄の片方を引っ張り、いのりちゃんの腕を掴んだ。

「祈璃、帰ろ」

今のいのりちゃんが言うことを聞くわけがないと思ったけれど、すぐに立ち上がった。

「え、アキ?」

驚く顔で名前を呼ぶ名倉くん。

いのりちゃんは前を向いていたから見てなかった。私はがっつりその顔を見てしまった。

「あとでメールすっから、学校来んな」

怖い。私がアキくんと同じ中学だったら絶対に避けていたと思う。



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